民間武術探検隊

民間武術探検隊への道

 

              黄老師だよ〜→
  

 

 *これは、1995年に書いたものです。
 


 

第四章 ボクの拳法ズボン

 中国に来れば、拳法着も靴も兵器も何でも「買いたい放題だぜぇ〜」と思っていたボクは、北京最大の繁華街「王府井(wang2fu3jing3 ワンフゥジン) 」に探索に出た。
 しかし、日本で柔道着や刀がどこにでも売っている物ではないのと同じように、中国でもそれらを探し出すのはなかなか容易ではなかった。
 やっと街の外れの体育用品店で、民間武術家が好んで着用しそうな黒い拳法ズボンを発見した。店の小姐を呼び、それを見せて貰う。
 だぼっとした感じがなかなかグーだ。色は黒で良かったのだが、授業で憶えた「他の色はありますか?」が使いたかったので、
「有没有別的顔色?you3mei2you3bie2de・yan2se4 ヨウメイヨウビエダイエンスゥ 」
と言ってみる。
「没有mei3you3 メイヨウ ないわよ」
と期待通りの返事に満足。
「じゃあ、それの特大サイズをちょうだい。」
とそれを購入。
 靴の方は「北京百貨大楼」の斜め前にある、割とでかい靴屋で、なかなか良い底がゴムの「布鞋 bu4xie2 ブウシエ」をゲット。
 北京滞在中は、ほとんどその拳法ズボン、布鞋、Tシャツで過ごした。どっかの名所旧跡を見学に行ったりする時も、その格好が多かった。
 で、若気の至りからか、その格好で「騰空擺蓮脚」とかやって写真を撮ったりした。あとでその写真を見ると民間中国人がボクを指さして見ていたりするのであった。(写真と言えば「万里の長城で練習する著者」を真似て撮った写真には、後ろで記念写真を撮ろうとするカメラを持った民間中国人が、迷惑そうな顔をしてボクを見ている、なんてのもあったな〜。みんな遠い過去の思いでさ。ふっ。)

 宿舎には洗濯機があったが、壊れていて使えない事が多かったので、洗濯はほとんど手でしていた。
 お気に入りの拳法ズボンは特に丁寧に丁寧に洗って大事に大事にしていた。
 その後、北京での短期留学が終了し、西安や上海をまわっていた時、泊まった宿舎で洗濯のサービスをしてくれる所があったので、「らっきー」と思って旅行で溜まっていた洗濯物を頼んだ。
 翌日、出来上がった洗濯物を見て、ボクは我が目を疑った。あのちょ〜お気に入りの大事に大事に大事にしていたボクの拳法ズボンが「つんつるてん」になってしまっていたのだぁぁぁぁぁぁ。所々ほつれて、あの「特別大」だったのが、「特別小」になって、色もなんだか白っぽくなってしまっていて、「いったい、どーゆー洗い方したら、こーなってしまうんだーだだだだっ」って感じ。もう、ちょ〜がっかり。はぁ〜。(;_;)クスン

 重要語句解説

○万里の長城で練習する著者
 中国武術界では有名な某氏の著作に掲載されている写真。万里の長城に行ってこの真似をした日本人はボクだけではないだろう。タブン。ボクは八極ではなく陳氏太極の単鞭でした。

○底がゴムの布鞋
 所謂日本で言う所のカンフーシューズ。本物の布鞋は底も布で、すり減ってきたら、また布を縫いつけるらしい。実際、底用の布を売っているのを見かけた。日本でよく見る布鞋は底がプラスチックのものが多いが、滑りやすくてボクはあまり好きではない。

 


 次章予告

 やっぱり中国に来たからには器械も欲しいところ。

 どうせゲットするなら、民間武術家御用達のあの剣をゲットせねば!

 幻の剣を求めて、一人、魔都上海をさまようわたるプレ隊員。

 突如現れた謎の男。こいつは味方なのか敵なのか!?

 

 刮目して待て!次章「幻の剣を求めて」
 

 2000.06.13 民間武術探検隊 わたる

 

次章 幻の剣を求めて

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