ぼくが出会った老師達
安天栄老師
民間武術探検隊
ぼくが出会った老師達 - 安天栄老師編 - その2
安老師に八極拳を伝授して頂く約束をした我々であったが、怪しい中国語使
いσ(^_^;しかいなかったため、些か不安が残った。しかし、小さい事は気にし
ないのが、民間武術探険隊だ。
ぼくと○○師兄は・・・、どこかへ行ったのだが、あまり記憶にない(^-^;。た
だ、ホテルの外へ行った事だけは憶えている。まぁ、明日早朝からの練習にそ
なえて外で自主練をしていたかもしれない(都合の良いように考える(^-^;)。
で、その自主練(ホントカー(^-^;)を終えたぼくらは部屋へ戻ろうとエレベータ
ーに乗った。エレベーター老姐に行き先を告げ、ぼくらの階に着くのを待って
いると、誰かが降りるのだか、乗るのだかは忘れたが、途中の階でチーンと言
ってそれは停まった。
ドアが開くといきなり「むぁ」っとするような空気が雪崩込んで来たような
気がした。見るとエレベーター前の広場に、十名近くの野郎どもが揃って馬歩
で立っていた。
「いったい、なにごとだだだっ!」と密かにローバイしていると「わたる隊
員。どこ行ってたんだよ。もう始まってるぜ。」と某隊員。見れば安老師を先
頭に八極の練習の真っ最中であった。
「なにぃ、練習は明日からのハズじゃぁ・・・」。やはり意思の疎通に多少問題
があったようだ。(よくある事だ(^-^;)
安老師が「おまえら、早く入れ」というので、ぼくと師兄もそのエレベータ
ー前のはた迷惑な一団(^-^;に混ざった。やっていたのは、八極小架。一動作毎
にズシンと震脚しては数分止まるという練習だ。
さらに安老師は「発勁の瞬間は『はっっ』だだだっ!」と仰る。ほかの宿泊
客には迷惑このうえない集団である。しかし、関わりになるとヤバイと思った
のか、中国人にはそんなの日常茶飯事なのか(んな事ないか(^-^;)は分からな
いが、苦情を言ってくる人はいなかった。
あの日の南山賓館には、安老師とぼくらの『はっっ』の声と『ズシン』とい
う震脚の音が夜遅くまで鳴り響いていたのであった。
(続くよん)
語句解説
○エレベーター老姐
エレベーターにはエレベーターガールがいる事が多い(気がする)。日本
のそういった人々はとても礼儀正しいが、中国では結構無愛想な人も多い。
ここの人は割と無愛想だった。一緒に行った山西形意の趙老師は、そんな
エレベーターガール(ガールと言うには、ちょいお年を召していたが)に
気を使ったのか「小姐、×楼(おねーさん、×階ね)」と乗る度に言った。
だがある時、いつものように「小姐、×楼」と言うと、そのエレベーター
小姐は「我不是小姐。我是老姐。(わたしは小姐じゃないわ。もう老姐よ。)」
と苦笑いをしながら言ったのであった。
○エレベーター
中国のエレベーターはなかなか侮れない。一応、三菱とかのマークは付い
ているようだが、「なんだ、なんだ」という経験をする。先ず、動き出す
時や、停まる時のショックがでかい。そして、停まってドアが開いた時に
ズレている事があるのだ。何がズレているかと言うとビル側のドアとエレ
ベーターのドアがズレているのだ。わかるかな?乗り降りする時に段差が
あるという事。いつも、って訳ではないけど。日本ではさすがにお目にか
かった事がない(あたりまえか(^-^;)。
1997.06.22 民間武術探検隊 わたる