民間武術探検隊・外伝
−ある隊員の記録−
第二話 ふん、は
大連の民間武術家との交流会での事だ。
○○師兄は、通背も好きだが、八極も大好きだ。厳広財老師や安天栄老師から
八極拳を習っている。今回の探検では、厳老師も安老師も一緒であった。
○○師兄は二人の恩師に素晴らしい表演(八極小架)を見てもらおうと、はり
きっていた。
表演は進み、いよいよ師兄の番が来た。待ってましたと開門式から頂肘。ここ
でおもいっきり、
「ふんっ!」
とやった○○師兄。
その途端、両方の鼻の穴から、大量にどばっ〜と、『鼻ぴー』が出てしまったの
だ。お〜まいぶっだ。大連の冬はちょ〜寒いのだ。
しかし、○○師兄は鼻ぴーを垂らしながらも力強い表演を続けたのであった・・・。
もちろん、要所要所で「ふんっ!」「はっ!」と裂ぱくの気合いをかけながらだ。
その度に長くなる鼻ぴーを拭く事もせずに..。
さらにぶっだの悪戯か、この時、大連のテレビ局が取材に来ており、○○師兄の
表演は、大連市(もしかしたら中国全土?)にテレビ放送されてしまったのである。
さすがに鼻ぴーは識別できなかったが..。
語句解説
○ふん、は
門派によっては、打撃の瞬間に爆発的な呼吸法を用いて威力を高める。その
時、自然と音が出る。鼻で行うと「ふん」、口で行うと「は」である。八極
門や心意六合門など、一撃の威力が大きい門派で多用されるようである。